家具の修理(時代箪笥・座卓)

近年お問い合わせが増えてきました修理の仕事。

工房では木地の修復から拭き漆、金具等の再生までを一貫して行っています。

作られた当時の様に修理・復元する工房というのがあまり無いらしく

遠方からのご依頼も頂きます。

 

下の写真は9月納品の帳箪笥と座卓です。

修理後の写真しかありませんが・・・

お客様からご了承を頂きご紹介いたします。

 

まずは時代箪笥、明治30年代〜おそらく100年以上前に作られたもの

この時代まだ木工ボンド等はなく接着剤は膠(にかわ)と続飯(そくい)

経年による剥がれが生じますので締め直しが必要となります。

 

今回は金具の再生から拭き漆まで綺麗に仕上げました。

帳箪笥

帳箪笥はその地域ごとに特徴があり、抽斗や開き戸の構成、金具などから

これは新潟の中越地方で作られたもののようです。

木理や抽斗の数に金具等、商いの象徴である帳箪笥の中でもかなり立派なものではと思います。

 

それにしても漆と鉄の相性というのは特別なものですね。

 

作るだけでなく良い状態で次の世代に引き継ぐ事も今必要な仕事と実感しています。

帳箪笥
金具は少しでもサビが残っているとまたすぐにサビてしまいます。生地の状態にして焼き付け塗装します。
金具は完全にサビを落とし鉄素地の状態に、その後焼き付け塗装します。

 

こちらは座卓の修理と塗り直し

無垢材を使ったこの様な座卓では必ずといってよいほど

天板の框と内にはまる板の間に隙間が空いてしまいます。

天板の割れや隙間を同材で埋め傷等も削り落とし
木地の状態にその後拭き漆で仕上げます。
もとは紅殻と漆が塗られていた様ですので、同様に仕上げます。
座卓の修理と塗直し (紅殻・漆)
脚の形と全体のバランスが良く装飾も手馴れた感じなかなかの優品では

修理は知識と経験、それぞれに合わせた対応力が求められる仕事で

先達から学べる事も多くとても勉強になります。

 

 やっぱり直して良かった。というお客様の言葉を何より嬉しく思います。